渚にて

旅行、音楽、読書、日常の雑記をつれづれに。

アイスランドは眠らない3 まさかの大襲来 (Goðafoss~Myvatn)

■17,June,2014(3日目)

朝は7時台からホテルをチェックアウトし、ツアーに参加するために坂道の下にあるバスターミナルへと向かった。青空が広がる、いい天気だった。待ち合わせ時間まで街をぶらつき、あれこれ撮ってみる。
民家の花壇に咲いていた花

  
街中へと向かう坂道。やっぱり急だ~

天気がよすぎて眩しい。真ん中がアークレイリの教会

美術館。面白い形をしている

CDを買った雑貨屋さん

 
 早朝だからか、街はまだ静か。昨日帰りがけにCDを買った雑貨屋さんもまだ閉まっている。ここでは3枚のCDを買ってしまった。詳細はこちら。

 

バスターミナルまでやってきた。しかし人影が見当たらない。ターミナルの店も開いていなかった。時間はもうすぐなのに。少しずつツアー参加者とおぼしき人たちがやってきたが、皆不思議そうにしていた。店先にあった看板の地図を見ていると、歩いてきた地元の若い男の子が「どこに行くの?」と聞いてきた。「ミーヴァトン」というと「ああ」という顔をして、「気をつけてね」と笑って去っていった。
「気をつけてね?」
はてな
しばらく待っていると、ようやくバンがやってきた。乗務員のお姉さんが「今日は祝日で、飛行機のスケジュールが変更になった。空港に来るツアー客を迎えるまでにまだ時間があるから、ちょっとアークレイリをドライブしよう」と告げた。なるほど、祝日だったのか。
バンに乗って街を一巡り。少し歴史のあるらしい建物などを紹介されたが、やはりどれも比較的新しいものだ。それと、山の手にあるマンションはとってもいいお値段らしい、ということは分かった(笑)。

アークレイリの街を見下ろす
バンが空港へ着き、ようやくツアー参加者全員が集合した。ツアーはアークレイリからやや南東に位置する溶岩湖のミーヴァトン湖を中心に、各地の名所を回る行程だ。

山側に行くと雪がへばりつくように残っている


バスはまず、ゴーザフォスへと着いた。
ゴーザフォスとは、「神々の滝」を指す。
アイスランドでは995年から、ノルウェー王のオーラヴ・トリクヴァソンの意向でキリスト教化が強行的に進められた。
1000年、アイスランドの人々はシンクヴェトリルの国会(アルシング。世界最古の近代議会とされる)でキリスト教改宗を決議した。決議後、多神教の聖職者であり族長のソゥルゲイルはミーヴァトンに近い家に帰る途中でこの滝にヴァイキングの神々の偶像を投げ込み、キリスト教への信仰を誓ったという。ゴーザフォスの名はその故事に由来する。
高さこそそこまでではないが、半円状に弧を描く地形と、勢いよく滝つぼに落ちて逆巻く水がどこか優美に感じられる。

 
 
こんな天気を予想もしていなかった。思い思いの場所で撮影する(あぶない…)
 
 
水辺には花が咲いていた
気持ちのいい滝だった。
ミーヴァトンはもう少し先にあるので、またバスに揺られる。


ミーヴァトンに着いて、私は朝方のターミナルで男の子に言われた「気をつけてね」の意味を理解した。
バスの外を、アブのような羽虫が大量にぶんぶんと飛んでいたのだ。
なんだこれは!!!??
あまりにもものすごくて、ずっと首を振っていないといけないくらいだ。
ミーヴァトン湖。見た目はとても美しいのだが、この間も羽虫がそこらじゅうで唸りを上げている

羽虫に追われる犬

ついに降参してうずくまる…
後で調べたらミーヴァトンは「蚊の湖」を意味するらしい。夏場は虫が大量発生するようだ。恐ろしい。向かいから歩いてきた観光客のカップルは、養蜂業者が被るような網を頭から被っていた。
ちなみに、ミーヴァトンは阿寒湖と同じマリモの生息地としても知られている。だが、数年前に見たドキュメンタリーによると、近年は水質汚染によって生息数は激減してしまったそうだ。こんなにきれいなのに、なんだか信じられない。
★日本のマリモ・世界のマリモ(マリモWebさん)

溶岩が水に流れ込み、水蒸気爆発でできた擬似クレーター。あちこちにある


 

クレーターを見下ろしたところで限界がやってきた。
「きれいだけど、も、もう戻ろう!!」
まるでヒッチコックの「鳥」みたいに羽虫を振り払いながら、私は必死でバスへと駆け戻ったのだった。

(つづく)