渚にて

旅行、音楽、読書、日常の雑記をつれづれに。

north side

なぜこんなに北に惹かれるんだろう?寒いのほんっとうに嫌いなのに!
前にも呟いたけど、去年のアイスランド以来、北への憧れが増すばかりだ。
「これは私が旅行者で、通りすがりだから楽しいんだ」と旅で何度となく思ったことだけど、それでも北の風景は愛おしい。
人を寄せ付けない、つめたくて、灰色で、静かな色だ。
手が届かない癖に何だか懐かしい友達のような気分。真新しい空気をまとっているのに、ずっと前から知っていたような。
ゴーギャンタヒチに憧れるような、そんな感じなんだろうか。
いやそんな大層なものじゃないし、実際彼の方は現地に移り住んだけれど。

来月の初めには、自転車で世界一周した人と、オーロラが見えるところに移住した人がまた講演にやってくるらしい。聴いてみたいなあ。
今は秋のユーコンがどんな色になっているかが気にかかる。
いい加減地に足をつけなさいと、どこかで私が言うんだけど、たぶん数センチはいつも浮いてる。
これが生来ずっと悩みの種で、きっとこの現実離れした大人になりきれないところが周りから不思議に思われてるんだろう。
そりゃ大人になれたら嬉しいけど、どんな大人になるかが一番気になる。
そんなことを考えてると、また北に意識が行ってしまう。これは現実逃避なんだろうか。
思うに、たまに自分の価値観に殺されると思うときがあって、そこから私は全速力で逃げ出さないといけない気がするのだ。

誰も私を知らない場所に行きたいな。
でもそこには確かに人がいて、ちゃんと生活をしていて、私はそういう場所が好き。
だから私はあとわずかのところで、地面から完全には離れられない。




先月の旅の、ベルゲン鉄道からの眺め。
チェコの作家カレル・チャペックの紀行文に『北欧の旅』というのがあって、今回は旅の前後にそれをぱらっと立ち読みした。触れているサイトさん
ページをめくり、行った場所がちらほらと出てくるのを見るたびに、「チャペックもここを歩いたのかなあ」と思いを馳せた。
いつか死ぬ前にまたアイスランドと、ロフォーテン諸島に行ってみたい。
願わくばオーロラが見える時期に。


Matthew Jay/You're Always Going Too Soon

秋になると彼の柔らかい声を思い出す。
先月、またあの日がやってきたと知って、私は見たこともない彼のライブを想い浮かべる。
こんなに近いのに、遠い。