渚にて

旅行、音楽、読書、日常の雑記をつれづれに。

平清盛『滋子の婚礼』

遅れましたが平清盛の適当な感想です。
このところの仕事進行でリアルタイムではほとんど見れないので、ようやく溜まっていた録画を少しずつ消化しました。

『滋子の婚礼』

平治の乱の戦後処理が色々と終わり、区切りがついたところで清盛はついに念願の公卿の座へと昇りつめた。これは武士としては異例のこと。宋との交易も順調な様子で経済的にも平家(この時からこう呼ぶらしい)は盤石、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。

さて今回の主役は、タイトル通り清盛の義妹である滋子だ。
彼女は美人だが、それこそ昔の清盛を彷彿とさせるような奔放な性格で、「好いた人としか結婚はしない」と言い張って清盛を悩ませる。
清盛はそんな滋子を二条帝に入内させようと画策するも、その前に滋子はひょんなことから天敵でもある後白河上皇と恋仲になり、子供までもうけてしまう。
「まったくなんてことじゃー!」と怒り心頭の清盛と、それにひるまない割に自らの珍しい巻き髪を気に病んで「やっぱり上皇様と結婚できない…」と落ち込む滋子の意外な乙女ぶりがほのぼのとしていて笑えます。赤毛のアンか!
そしてそれをちゃんと見ている清盛は、やっぱり家族思いだよなあ。

婚礼の日、宋の衣装をまとい、巻き髪を宋の娘風に結いあげた滋子に口をはさむ者は誰もいなかった。「上皇様との間に借りを作りたくなかっただけじゃ」とドヤ顔の棟梁清盛と、今様を歌って上機嫌の上皇様。
めでたしめでたし!


今回は平家と後白河上皇(王家)とのつながりができたのが一番のミソ。
かつての摂関政治がそうであったように、自らの一族から妃となる娘を差し出し血縁関係を結ぶことで、平家はさらに権力を増していきます。
それは後白河の性格を考えると諸刃の剣でもあるのですが、清盛との対立がどうなるか気になるところ。
狙うはこの国のテッペンだからな!!!(っていう終わりだった)

また、清盛の祖父・正盛の代から仕えてきた家貞が亡くなります。
病の床に就いた家貞は欲するもののために生き、そして夢半ばで死んでいった人たちの思いを背負って生きるよう清盛に訴える。
「もとよりその覚悟、それこそわが欲じゃ」
そう笑う清盛に、頼朝の始末の際にも彼が言った言葉を思い出されます。
「叔父上を斬ったときより、覚悟は決まっておる」
確かこんなことを清盛は言っていた。

保元の頃、あるいはそれよりももっと昔からずっとたくさんの人たちの思いを背負ってきたのだとすると、何て大変なヒーローであることか!
さらに、彼は「おもしろき世をつくる」という昔からの夢もある。
少年のころから追い続けた純粋で奔放な夢と、公卿になったことでいや増した平家の棟梁としての責任や覚悟、これらをこれからどう両立していくかが今後の見どころかもしれない。第三部への引きを感じさせます。

その他あれこれ。
・後白河に対して、平家至上主義の私は特に何も思っていないのですが、清盛が公卿に上がった時、「これが清盛と後白河上皇の長い長い双六遊びの新たなる始まりであった…」とナレーションが入ります。
清盛の対立軸(政治的な意味での)はこうして義朝→後白河と移って行くわけですね。

・個人的に笑えたのは、滋子が「子供ができた」と打ち明けて清盛がぶちきれたとき、重盛が「しかし、後には引けますまい」といつも通りの平常運行だったことだな(笑)。
冷静すぎても「火に油を注ぐ」という言葉がありましてな若殿…、と今から涙目で言っておく…。

・滋子の宋風の衣装、ふわふわして可愛い!巻き髪って当時そんなにいなかったのかな…。

保元の乱の裏主役、美福門院得子様が亡くなる。庭には菊の花。
それにしてもこのドラマ、毎回誰かが死んでいる気がするな…時代の移り変わりが激しすぎて、この次の回『平家納経』で清盛が「兎丸と会って、もう30年かー!」と言っていた時の驚愕ったらないよ!
松ケンがいつの間にかマツケンになっていたらどうしようかと思います。
(類似例:『カーネーション』における糸子の真知子→夏木マリ化、または『おひさま』における育子の満島ひかり→徹子化)


まだ見終わってない回がありますが続きはまた今度。